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研究の目標

ナノ医工学とは、ナノ・マイクロレベルの生命現象を対象に、工学的手法を用いて生理現象の解明、生体操作、機能修復などを図る工学技術です。ナノ・マイクロレベルの生命現象として最も重要な対象は、細胞および細胞内の小器官、さらに細胞外マトリックスなど、長さの代表スケールが数10ナノメートル(ナノメートルは10億分の1メートル)から数100ナノメートルの構造とその機能です。個別の分子ではなく、生命のシステムとしての統合性が問題になるこのレベルでは、単なる化学反応ではなく、生命体の複雑な構造と機能が一体となって生命機能が維持されます。ナノ医工学では、このような認識のもと、具体的な臨床医学・医療への応用を視野に入れた生命現象の解明、構造の可視化と観測、治療的介入のためのデバイス開発、そして、これらの基礎技術を臨床応用する医療工学までを研究の対象範囲とします。

(1) ナノバイオメカニクス:バイオメカニクスは、生命体の機能を工学(機械、電気など)の手法で解明し、医学への応用を図る研究分野です。本拠点の研究者は、細胞の構造タンパクの強度の微小測定、血球流動の観察とシミュレーション、聴覚細胞のモータータンパク同定など、ナノバイオメカニクスの研究の世界の最先端にあります。

2) ナノバイオイメージング:ナノマイクロレベルでは、構造と機能の関連は非常に強くなります。この関連を解明するためには、生命体の微細構造を明らかにしなければなりません。本拠点では、超音波、PET,MRI,CTなどの多種多様な手段による世界の最先端のイメージング研究を実施しており、得られる構造の画像情報を機能とデバイス開発に有機的に結びつける世界でも例のない研究が進行しています。

(3) ナノバイオデバイス:東北大が世界の最先端を確保する半導体およびMEMS技術、電気化学的および化学センサによる細胞操作技術を基礎に、実際に生体に操作を加えるナノ・マイクロスケールのデバイスを開発しています。代表的なものは、埋め込み実験が始まる人工網膜デバイス、電気化学反応によるバイオリソグラフィー、生体燃料電池などが挙げられ、これらの研究も世界の最先端にあります。

(4) ナノバイオインターベンション:上述の基礎研究・開発研究を実地臨床に応用するために本拠点では、各種の人工臓器(心臓、食道、括約筋など)の開発・前臨床試験、がんの治療におけるナノパーティクルの応用など、ナノメディシンの最前線の研究を推進しています。

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